あれの続編 やっぱり文才はない…
微妙に好評だったのかどうかわかんないので、前回の続編みたいな・・・
(前回の怪しい片岡義男風はこちらです。読んでない方は読まないと訳わかんないという…)
走り出してすぐ、近くを流れる河の堤防を走ることにする。
年末に舗装を直したばかりで、アスファルトがまだ新しい色をしている。
右手には河川敷のゴルフコースがあり、寒いとは言え風がそれほど強くない今日のような日には、コースを回っている色鮮やかなウェアを着た人たちを見ることが出来る。
風景を楽しむ余裕がある速度のとき、この相棒はドコドコと鼓動を感じさせるだけでのんびりしたモノだ。
河口までの距離はそれほど遠いわけでもない。
時間にすれば30~40分程度か。もちろん何かのアクシデントで渋滞することが無ければ、なのだが。
堤防は信号が少ないのが良い。
交差する幹線道路や鉄道は、その殆どをアンダーパスでくぐり抜けることが出来る。
大きな河川の堤防と言えば直線に近いのだが、アンダーパスに入るとき少しばかりのコーナリングになる。
ワインディングを攻めるのとは違い、気合いを入れるほどでもないがそれなりに楽しめる。
「このアンダーパスをくぐると確かしばらくは直線のはず」
たまにしか乗ってやらない相棒から急かされているような気持ちになり、回転を合わせてギアを一つ蹴り落とし、同時に両足でタンクを挟み込む。少し猫背気味の姿勢を取り顎を軽く引くと気分も戦闘態勢になる。
SRのシングルエンジンは多気筒のマルチエンジンとは違い、どのギアからでも確実に加速する。それが持ち味の一つだ。
さらに、シフトダウンしてからの加速もマルチとは全く異なる味わいを見せる。
マルチの加速がエンジンの回転に合わせて後ろから蹴飛ばされ続けるような加速だとすると、シングルのそれは何かに一気に引っ張られるような加速だ。
そして大きな違いがもう一つある。
荒々しく加速する。そんな表現が似合うマシンは、意外と少ない。
シングルエンジンは一気に回転を上まであげると恐ろしいまでの振動を伴う。
暴れるマシンをしっかり体中で抱きしめる。
そのときがハッキリとこいつを相棒と感じ、荒々しく加速することを頼もしいと思う瞬間だ。
昔乗っていた2ストや、マルチエンジンのいわゆるレプリカマシンの頃の癖で、俺はステップに土踏まずで足をかけず、少し前方でいわゆるつま先乗りと言う奴で乗る。
加速中は踏ん張りながらくるぶしでフレームを締め付ける。こうすると、上半身の力が抜けて相棒の動きが把握しやすくなる。
アップ気味のハンドルバーにしてあるこいつは、速度を上げると振動とともに大気の壁を俺にぶつけてくれる。
ヘルメットの風防からの風切り音は激しくなり、頬をかすめる空気は切り裂くような強さで後方へとその皮膚を引っ張ろうとする。
それでもスロットルを戻さないのは、相棒とのこの瞬間が好きだからだろう。
河口が近づいてくる。
さっきまでの"冬独特の匂いのない空気の感じ"ではなく、それと混じってハッキリと潮の匂いがしてきた。
海が見える辺りまではもうすぐだ。
しかし俺は海までは行かず、少し手前で相棒を停めた。
冷え切ったグローブを外すとヘルメットの顎ヒモをゆるめ、ゆっくりと広げるようにしながら脱ぎ取る。
体は冷え切っているのに、相棒と同じように頭は少しばかり熱くなっていたのが一気に冷えるのが分かる。
スタート前と同じように、しかし今度は大きく深呼吸すると、吐く息にあわせて目の前にもう一度ほんの少し白い世界が出来た。
背中にくくりつけたワンショルダーのバッグのファスナーを開けると、出がけにキッチンにあったのを何気に入れたリンゴを取り出す。
ジャケットのファスナーを半分おろし、シャツで軽くリンゴを磨く。
「ふっ、こんな小説があったな…」と思い出し、右のバックミラーのステー、まっすぐな部分だけを残しミラーを抜き取るとそこに一口かじったリンゴを刺し、俺は帰り道についた。
海は暖かくなってから見に行くことにして。
ええと、ミラーにリンゴを刺すシチュエーションは、片岡義男の小説に何度か登場します。
これが書きたかっただけだじぇ。
前回中途半端で終わってたから、ちゃんと落ちを付けたかったんですわ。
駄文最後まで読んで下さった方、お疲れ様でした。
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>これが書きたかっただけだじぇ。
ええっ!?
りんご、nama氏の事だから
マジかと思ったのにww
オレもこんな感じで記事書こうかな~
いい感じでした♪
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全部フィクションですよぉ~。
オイラのミラーはステーだけ残して外すなんて出来ない奴ですもん。
この寒いのに、吹きっさらしの堤防なんて走りたくないって。
ぜひnoaブログもこんな感じでお願いします。